日本のアマルフィ、ロマンを秘めた街並

保戸島 hotoshima

ロマンを秘めた、美しい街並の島

大分県津久見港の沖に浮かぶ保戸島。昔からマグロの遠洋漁業の基地として、全国に名を馳せてきた、周囲4キロの小さな島である。

この島は、南イタリアの地中海沿岸部の、たとえばアマルフィやナポリ沖に浮かぶプロチーダ島に、街並の景観が似ている。

みっちり、ぴったり、ぎゅっとした、カラフルな家々。猫がのんびりと、細い小径を縦横無尽に行交っている。

「この街並は、兵どもが夢の跡じゃあ」

マグロバブルだったひと昔、次々に建てられた三階、四階建ての立派な家並み。今は、ほとんどが空家だという。

次第に、太陽が西へ傾き、夢の跡だという街並はいっそう色彩を強め、切なさのまじる美しい佇まいに変わった。

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街並は、兵どもが夢の跡

島生まれ島育ちの、自分のことを「おいどん」というおじいちゃんと、一緒に堤防に腰かけた。
潮風にあたりながら、おじいちゃんが、島の話をしてくれました。

「この街並をごらんなさい。兵どもが夢の跡じゃあ」

マグロの遠洋漁業が今よりもずっと盛んだったひと昔、島にはマグロ漁船が160隻あったそうです。
今はもう15隻しか動いていません。

島の男たちは、歳がきたら船に乗り、1年のほとんどを海の上、船の中で過ごしたのです。
マグロが飛ぶように売れた時代、島の人たちは、次々と背の高い建物を建てていきました。
島は、敷地面積がとても狭く、横に広げるわけにはいかなかったのです。
今は、ほとんどが空家だといいます。

みっちりと詰まったような家並み小径を歩くと、まるで仄暗い森のなかを彷徨うような気がします。
小径のほとんどが階段で、島のおばあちゃんたちは、テボという竹で編んだカゴを背負い、今でも暮らしています。
おばあちゃんの足元で猫がごろん。島には、日本一狭い県道もあります。

命がけでマグロを釣りに海外のほうまで船を走らせた男たちと、島を守ってきた女たちが築きあげた街並。

「おじいちゃん、生まれた変わったら、またマグロ漁船に乗る?」
そう聞くと、おじいちゃんは少しだけ考えるような顔をして、
「さあ、わからん」と答えました。

だけど。
東京の人を初めて見たというおじちゃんは、私よりも、はるかに広い世界を知っている顔をしていました。

 

 

 

のほほんと暮らす猫の島

保戸島の街中には、至る所に猫がいます。
あまり有名ではありませんが、「猫島」であることは間違いありません。
島の人たちは、猫がいることが当たり前の様子。

ある所で、猫を膝の上にのせ、目やにをとってあげているおじいちゃんがいました。
安心しきった猫たちの、あどけない表情。
ああ、猫がいる島は、いいなあ。

アマルフィやナポリ沖のプローチダ島などに、街並が似ていますが、猫が多いところも、似ています。

 

<行き方>
大分県津久見港からフェリー「マインスター」「やま2号」で25分
運賃:大人860円/子ども430円(いずれも片道)
問い合わせ先:詳細はこちら
(有)やま丸
津久見事務所(TEL:0972-82-2507 FAX:0972-82-0078)
保戸島事務所(TEL:0972-87-2274)

時刻表:

津久見港の待合室で切符を購入

<ひゅうが丼>
「大川」要予約
営業時間:11:00~14:00 16:00~21:00
TEL:0972-87-2024
住所:津久見市保戸島1120番地

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